SAP 社では 2013 年 12 月にSAP Mobile Platform - Wikipediaを公開しており、本格的に HTML5 に力を入れてきました。
今回はその流れの中で、SAP のモバイル戦略を下支えする HTML5 ベースの UI フレームワーク「SAPUI5」を少し触ってみます。
SAPUI5 とは
SAPUI5 とは「SAP UI Development Toolkit for HTML5」の略称で、業務系アプリケーションに特化した機能豊富な UI コンポーネントを含んだ UI フレームワークです。
2013 年 12 月に SAPUI5 をオープンソース化したOpenUI5が発表されています。
特徴は、Publickey さんの方で語られていますので、こちらを参照してください。
SAP、業務アプリ用の JavaScript 製 UI ライブラリ「OpenUI5」を公開。レスポンシブ対応でモバイルデバイスにも - Publickey
SAPUI5 と OpenUI5 の違い
では、SAPUI5 と OpenUI5 の何が違うのかと言ったところですが、簡単に両者の違いを話ます。
SAPUI5 はもともと「SAP NetWeaver Gateway」の UI アドオンの 1 つとして提供されていました。基本的には「SAP NetWeaver Gateway」を購入したユーザーでないと使えませんでした。
「OpenUI5」は SAPUI5 をオープンソース化したもので、開発者からすると嬉しい限りですが、利用する際はいくつか注意点があります。(今のところ)
1. SAPUI5 とはリリースサイクルが異なる
(2014/02/20 追記) 2014/02/20 に OpenUI5 も最新版の 1.18.8 にアップデートされました。とはいえ使う時はバージョンちょっと注意してくださいね。(ブログ見てくれたのかな w)
OpenUI5 の中身は基本的に SAPUI5 と同じものですが、SAPUI5 より若干古いバージョンが提供されているようです。それに伴っていくつかの UI コンポーネントが使えません。
2014/2/17 現在で以下のようになっています。
- OpenUI5
- 1.16.7
- SAPUI5
- 1.18.6
これに伴い、開発者用のドキュメントも分かれています。ご注意ください。
- SAPUI5 SDK - Demo Kit https://sapui5.hana.ondemand.com/sdk/#content/Overview.html
- OpenUI5 SDK - Demo Kit https://openui5.hana.ondemand.com/#content/Overview.html
2. Theme Designer がない
それから SAPUI5 では「Theme Designer」という GUI でデザインを変更できるツールがあるのですが、OpenUI5 には(いまのところ)付属してないようです。
OpenUI5 のダウンロードしたファイルの中を見ると、less を書き換えるとテーマの変更ができると思いますが、かなり Hackey です。
3. Experimental features を実戦投入しない(2014/02/20 追記)
API の中には、Experimental features
(実験的機能)が含まれています。予告なく変更・削除される恐れがありますので、実戦投入しないようにしてくださいね。
ドキュメントを見ると「Experimental features
」って書いてあります。
実際に試してみる
実は、SAP にて SAPUI5 の CDN が提供されており、お試し程度であればこれで十分です。
こちらの URL にていつでも最新バージョンのライブラリを利用することができます。
https://sapui5.hana.ondemand.com/resources/sap-ui-core.js
では、実際に SAPUI5 を試してみましょう。
SAPUI5 ではデスクトップ用途の「sap.ui.commons
」とモバイル用途の「sap.m
」の 2 系統の UI コンポーネントが提供されています。今回はモバイル用の UI コンポーネントを使用します。
HTML ファイルを準備して以下のように記述してください。(ライブラリは 2014/2/17 現在の最新版 1.18.6 を使っています。)
コードはこちらです。
//3.0.3以降
$myModal = $('#myModal').modal({}, {
person: 'mitsuruog'
});
$myModal.on('show.bs.modal', function(e) {
var name = e.relatedTarget.person;
}
実際に動くアプリケーションはこちらです。
まとめ
SAP 社では 2013 年 12 月にSAP Mobile Platform - Wikipediaを公開しており、本格的に HTML5 に力を入れてきました。
Platform 3.0 では「Sybase Unwired Platform」をはじめ、「SAP NetWeaver Gateway」、GUI で画面開発ができる「App Builder」などいくつかのモバイル向けソリューションの統合が行われています。
HTML5 ベースの UI フレームワーク「SAPUI5」は、そのような SAP のモバイル戦略を下支えするものです。
SAPUI5 を使うことで、他の Web サービスとのマッシュアップ開発など柔軟に行えるようになり、まったく新しい SAP ユーザ体験を提供できる可能性を秘めているのではないかと思います。